斜視・斜位について
・両眼視と斜視・斜位の関係
近くの物を見るとき、目は自然に内側へ寄り(輻輳)、両眼の視線を合わせて対象を立体的に捉えます。
通常、この動作は無意識に行われますが、両眼視機能が弱いと目の位置を維持できず、片方の視線がずれてしまうことがあります。この状態を斜視または斜位と呼びます。
・外斜視と外斜位の分類
- 外斜視(顕性外斜視)
常に片方の視線が外側へずれている状態です。 - 間欠性外斜視
通常は視線のずれが見られませんが、片目を隠すと隠した方の黒目が外にずれます。また、疲れや体調によっては斜視が顕在化し、常に視線がずれることもあります。外斜視と外斜位の中間の状態と考えられます。 - 外斜位(潜伏性外斜視)
通常は視線のずれがなく、両眼で正常に視線を合わせられます。しかし、片目を隠すと隠した目が外側にずれ、両眼視が解除された際に再び正しい位置に戻ります。これは、目の筋肉が視線を保つ力(融像力)が弱いために起こります。
・症状
- 複視(ものが二重に見える)
- 眼精疲労(目の疲れ・頭痛)
- 斜位近視による両眼視力低下(遠くのものがぼやける)
- 片目つむり(屋外でまぶしさを感じ、片目を閉じることがある)
特に間欠性外斜視や外斜位では、視線を合わせるために目の筋肉を使い続けるため、眼精疲労や頭痛の原因となることがあります。
・検査
斜視・斜位の評価には、主に以下の検査を行います。
- 眼位検査(カバーテスト)
- 片目ずつ隠して目の動きを観察し、斜視や斜位の有無を確認します。
- プリズムバー検査
- 斜視や斜位の角度をプリズムレンズを用いて数値化し、偏位の程度を評価します。
- 両眼視機能検査
- 融像力(両眼で視線を維持する力)
- 抑制の有無(片方の目が無意識に視覚情報を抑制しているか)
- 立体視(奥行きを立体的に認識できるか)
これらの検査により、斜視や斜位の程度・視機能への影響を総合的に評価します。