ドライアイについて
・症状
ドライアイは、涙の量や質の異常により、眼表面の恒常性が維持できなくなる疾患です。涙は角膜や結膜を覆い、目の潤いや保護を担っていますが、そのバランスが崩れることで乾燥や炎症を引き起こします。
主な症状
- 乾燥感・異物感:目がゴロゴロする、チクチクする
- 眼精疲労・かすみ目:長時間の作業後に視界がぼやける
- 流涙(涙が出やすくなる):涙が蒸発しやすくなることで反射的に分泌が増える
- 充血・痛み:慢性的な乾燥による角結膜の炎症
症状は軽度の違和感から、重症では角膜障害(角膜上皮障害や角膜びらん)を伴うこともあります。
・検査
ドライアイの診断には、涙の質や量、眼表面の状態を評価することが重要です。
- フルオレセイン染色法:眼表面の損傷の有無を詳細に評価するための染色検査です。また、角膜や結膜の障害の有無を確認し、涙の安定性を評価します。涙の膜が破綻する時間(涙液層破壊時間:BUT)を測定し、5秒未満であればドライアイが疑われます。
- シルマー試験:涙の分泌量を測定する検査で、5mm以下(5分間測定時)であれば涙液減少が考えられます。
・治療
ドライアイの治療は、原因や重症度に応じて異なります。当院では、以下の治療を行っています。
- 点眼治療(主に軽症~中等症の患者様に適応)
- 人工涙液・ヒアルロン酸点眼:涙の補充と角結膜の保護
- ムチン分泌促進点眼(ジクアホソルナトリウム点眼・レバミピド点眼):涙液の質の改善
- 抗炎症点眼(ステロイド):眼表面の炎症抑制
- 涙点プラグ(中等症~重症例に適応)
涙の排出を抑えることで涙液の保持を促し、眼表面の乾燥を軽減します。 - 涙点閉鎖術
涙点プラグが合わない場合や重症例では、涙点を外科的に閉鎖する治療を行います。 - 温罨法・眼表面のケア
- まぶたを温めてマイボーム腺の分泌を促し、涙液の蒸発を防ぐ(特に蒸発亢進型ドライアイに有効)
- 眼瞼炎がある場合は、まぶたの清掃(アイシャンプーなど)を推奨(自宅で毎日行う)
・まとめ
ドライアイは「ただの乾燥」ではなく、視機能や生活の質(QOL)にも影響を与える疾患です。
目の違和感やかすみ目が続く場合は、早めの診察をおすすめします。